住宅ローンの選び方を初心者にも分かりやすく解説!
住宅ローンは、金融機関ごとに様々な商品が用意されているため「どの住宅ローンを選んだら良いのか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。
本記事では住宅ローンの選び方を、家づくり初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
住宅ローンの選び方のポイント
都市銀行・地方銀行・信用金庫など数多くの金融機関が住宅ローンを提供しています。それぞれが独自の住宅ローン商品を取り扱っているため、どの住宅ローン商品を選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
逆に、様々な金融機関を比較することなく「いつも利用している金融機関にお願いする」と決めてしまっている方もいるかもしれません。
しかし、住宅ローンは商品ごとに特徴があり、しっかりと選ばないと損をする可能性もあります。
ここから、以下のテーマごとに住宅ローン選びの5つのポイントを解説します。
住宅ローン選びのポイント1:金利タイプ(固定・変動)
金利とは、借りたお金への利子です。住宅ローンの金利には、大きく分けて3タイプがあります。
変動金利
変動金利は、借入から半年ごとに金利の見直しが行われ、金利が増減する金利タイプです。
変動金利のメリット
●他の金利タイプと比較すると、金利が安い。
●金利が低いままであれば、総返済額を抑えられる。
変動金利のデメリット
●金利が上昇し、5年ごとに返済額が増えるリスクがある。
●返済額が増える可能性があるため、返済計画が立てにくい。
【こんな方にオススメ】
●しばらくは大幅な金利上昇が無く、変動金利が最もお得と考える
●金利が上昇し、毎月の返済額が増えても支払っていける
●借入期間が短く、金利上昇のリスクが低い
●金利の変動状況を細かくチェックし、対応を考えられる
5年ルールと125%ルール
「金利が上昇し、5年ごとに返済額が増えるリスク」という言葉に違和感のある方もいらっしゃるでしょう。
変動金利は一般的に借り入れから半年ごとに金利の見直しがありますが、金利が上昇してもすぐには毎月の住宅ローン返済額は増えません。
それは「5年ルール」と「125%ルール」が設定されているためです。
【5年ルールとは】
5年ルールとは、多くの金融機関で定められている『金利が上昇しても5年間は月々の返済額が変わらない』というものです。
【125%ルールとは】
125%ルールとは、5年経過時に金利が上昇していた場合にも、『毎月の返済額はそれまでの返済額の125%までしか上昇しない』というものです。
このように「5年ルール」と「125%ルール」によって、金利が上昇しても急に家計が変動することを防止しています。
「5年ルール」「125%ルール」の注意点
5年・125%ルールによって、急な返済額の増加は避けられます。しかし、金利が上昇している場合には、毎月の返済額が変わっていないだけで、実際には返済額のうちの「利息」の割合が増えています。
そのため、当初の計画よりも元金の返済が進んでおらず、返済期間の満了時点で残金を一括返済しなければならない可能性があります。
月々の返済が変わらないことで、利息の支払いが増えていることに気付きにくい点に注意が必要です。
また、金融機関や返済方法によっては、変動金利であっても「5年ルール」や「125%ルール」が適用されない場合があります。事前にしっかりと確認しましょう。
当初固定金利
当初固定金利は、5年・10年など当初決めた期間のみ金利が固定で、期間終了後は変動金利か固定金利を改めて選びます。
当初固定金利のメリット
●全期間固定金利と比較すると、固定期間の金利が安い。
●一定期間は金利の上昇を心配しなくて良い。
当初固定金利のデメリット
●金利を選びなおす際に、金利が上がっているリスクがある
●変動金利と比べると金利が高い
●金利を選びなおす際に、125%ルールが適用されない
当初固定金利では、一定期間経過後に「変動金利」を選んでも、125%ルールが適用されません。そのため、金利が上昇した場合に他の金利タイプと比べて最も月々の返済額が上がりやすい点には注意が必要です。
【こんな方にオススメ】
●教育費にお金がかかる時期等は金利を抑えた固定金利とし、固定金利期間が過ぎたら金利を見直したい!
●固定金利期間が過ぎたら、売却や借り換えを検討している。
全期間固定金利
全期間固定金利は、借入期間中の金利が一定です。
全期間固定金利のメリット
●完済まで返済額が変わらないため、返済計画が立てやすい。
●変動金利の様に金利の上昇を心配しなくて良い。
全期間固定金利のデメリット
●他の金利タイプと比較して、金利が高い。
【こんな方にオススメ】
●借入期間が長く借入額が多いため、金利上昇のリスクが高い。
●資金に余裕がなく、完済まで安定した収支を維持したい。
住宅ローン選びのポイント2:金融機関(都市銀行や地方銀行・ネット銀行・フラット35)
住宅ローンの借入先として代表的なものは、大きく以下の3種類があります。
それぞれ代表的な金融機関や、金利情報を詳しく説明します。
※金利は2024年4月25日時点の各社HPからの情報。条件等により、金利の低下や上乗せの可能性があります。目安としてご覧ください。
都市銀行や地方銀行
住宅ローンの借入先として真っ先に、都市銀行や地方銀行・信用金庫などを想像する方も多いのではないでしょうか。地方銀行は給与振込先や公共料金の引き落とし先となっていることも多く、身近な銀行と言えます。
家づくりの際には住宅建築会社が手続きをしてくれる場合が多いですが、直接窓口に出向くことで借り入れに関する相談ができ、安心感のある借入先と言えるでしょう。
都市銀行の例
●三菱UFJ銀行:年0.345%~
●三井住友銀行:年0.475%~
●みずほ銀行:年0.375%~ など
地方銀行の例
●福岡銀行:年0.725%~
●西日本シティ銀行:年0.775%~
●北九州銀行:年0.600%~
●筑邦銀行:年0.975%~
●肥後銀行:年0.600%~ など
このように、都市銀行は規模の大きさを活かして金利が抑えられていますが、比較的規模の小さい地方銀行はネット銀行等と比較して金利が高めなのが懸念点です。
ネット銀行
ネット銀行は基本的に対人の店舗を持たず、インターネット上の取引を中心としています。そのため、直接窓口で相談したいという方にはあまり向いていない銀行と言えます。
しかし、店舗費やスタッフの人件費を抑えることができるため、大手銀行や地方銀行と比較して低金利となっている場合が多いです。ただし、低金利であるがゆえに審査が厳しめという声もあります。
ご自身でインターネット等を使って比較検討ができ、担当者とのやり取りも電話等で問題無いという方やオンラインで完結したいという方、そして金利をとにかく押さえたい方が検討するべき金融機関です。
ネット銀行の例
●auじぶん銀行:年0.319%~
●住信SBIネット銀行:年0.325%~
●PayPay銀行:年0.380%~
●ソニー銀行:年0.397%~
●イオン銀行:年0.430%~
●楽天銀行:年0.583%~ など
ただし、ここで紹介しているのはホームページ等に提示されている最も低い金利です。審査によって地方銀行と同等程度の金利になる場合もあります。
フラット35
フラット35は、住宅支援機構と民間の金融機関が提携して提供する住宅ローンです。
全期間固定金利が特徴的で、大手銀行や地方銀行・ネット銀行でも取り扱いがあります。借入金利は金融機関ごとに異なりますが、変動金利と比べると金利が高くなっています。
●最頻金利:年1.820%~
フラット35は団信の加入が任意
フラット35では、一般的な住宅ローンでは必須となる「団信(団体信用生命保険)」への加入が任意となっています。そのため、健康状態に不安がある方でも借入しやすいという特徴があります。
変動金利は今後の金利上昇が不安視されているため、借入時に返済額を確定し、安定的に返済をしたい方にお勧めの住宅ローンと言えます。
団信について詳しくは【住宅ローン契約に重要な団信(団体信用生命保険)を詳しく解説】ページをご覧ください。
財形住宅融資
対象となる方があまり多くないためオマケ的に、限られた方だけが利用できる住宅ローン「財形住宅融資」をご紹介します。
財形住宅融資は、職場で財形貯蓄を行なっている方だけが利用できる住宅ローンで、5年ごとに金利の見直しがある「5年間固定金利」となっています。
財形住宅融資の利用条件には以下のようなものがあります。
●「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」のいずれかを1年以上続けている
●申込日前2年以内に財形貯蓄の預入があり、申込日の残高が50万円以上ある
財形住宅融資には、事務手数料や保証料が不要というメリットがあります。
デメリットとしては「借入限度額が4000万円まで」「団信の費用が自己負担」「金利見直し後の支払額に上限(125%ルール)が無い」ということが挙げられます。
利用できる方が少ないのが実状ですが、もし財形貯蓄をされている方は住宅ローンの候補として考えても良いでしょう。
ここまででかなり長くなってしまいました。このように、住宅ローンは種類も多く、比較が大変です。また、注文住宅は完成した建物を買うのとは違い「中間金」など建築途中で支払いが必要な部分があることから、注文住宅建築時の利用に向かない金融機関もあります。
住宅ローンの説明を直接聞きたいという方は、来社予約をしてください。福岡工務店スタッフが、住宅ローンについて詳しくご説明します。
住宅ローン選びのポイント3:返済方法(元利均等・元金均等)
住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。基本的には元利均等返済となりますが、元金均等返済についてもご説明しますので、ご自身に合った返済方法の住宅ローンを選んでください。
元利均等返済
元利均等返済は、毎月の返済額が一定となる返済方法です。月々の返済額は一定ですが、当初は借入残高が多いため、返済額のうち利息の割合が多くなっています。そのため、返済を重ねるごとに、返済額のうち元金の返済の割合が増えていきます。
元金均等返済
元金均等返済は、毎月の元金の返済額が一定の返済方法です。当初は借入残高が多いため、利息が多くなり、毎月の返済額も多くなります。しかし、返済を重ねるごとに、利息が少なくなるため毎月の返済額も減っていきます。
シミュレーションで比較
実際に借入金額4000万円の場合の「元利均等返済」と「元金均等返済」の返済額をシミュレーションしてみます。
【元利均等返済の場合】
・毎月の返済額:107,408円(全期間一定)
・総返済額:45,111,275円
・うち利息金額:5,111,275円
【元金均等返済の場合】
毎月の返済額:(初回)118,571円、(60回目/5年目)115,293円、(120回目/10年目)111,960、(204回目/17年目)107,293円
総返済額:44,911,480円
うち利息金額:4,911,480円
シミュレーション条件:借入期間35年、借入金利0.7%(全期間固定)、頭金なし、ボーナス返済なし※融資手数料や保証料、団体信用生命保険料は含んでいません。
毎月の返済額は16年目までは元金均等返済の方が少なく、17年目以降は元金均等返済の方が返済額は少なくなります。また、総返済額や利息は、元金均等返済の方が約20万円少なくなっています。
このように、
がありますので、ご家族のライフプランに合った返済方法を選びましょう。※金融機関によっては、元金均等返済を取り扱っていない場合があります。
住宅ローン選びのポイント4:団信の内容確認
フラット35を除くほとんどの住宅ローン利用の必須条件となっている団信。金利競争に加えて、団信の内容の充実も金融機関による競争が行なわれ、近年では金利の上乗せ無しで幅広い保障(特約)の付いた団信が出ています。
ここでは、無料で付帯する特約付き団信の一例をご紹介します。
※保障には一定の条件があります。
auじぶん銀行「がん50%保障団信」
auじぶん銀行の「がん50%保障団信」の特徴は以下の通りです。
【基本の保障】死亡・所定の高度障害・余命6カ月以内と診断された場合/100%保障
●がん診断保障:所定の悪性新生物(がん)と診断確定されたとき/50%保障
●4大疾病保障:所定の急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患/50%保障
●全疾病入院保障①:精神障害を除く病気やケガで入院が31日継続し、その後も入院が継続して合計180日以上となった場合/100%保障
●全疾病入院保障②:精神障害を除く病気やケガで入院が31日継続し、その後も入院が継続して30日に達するごと/月々のローン返済額を保障(継続した入院に対し5回を限度/通算36回を限度)
●セカンドオピニオンサービス(医師の手配・紹介)
●24時間電話健康相談
※満50歳までの方の場合
住信SBIネット銀行「スゴ団信」
住信SBIネット銀行の「スゴ団信」の特徴は以下の通りです。
【基本の保障】死亡・所定の高度障害・余命6カ月以内と診断された場合/100%保障
●3大疾病保障:所定のガン・脳卒中・急性心筋梗塞で所定の状態になった場合/50%保障
●全疾病入院保障①:特定疾病および重度慢性疾患に該当する場合
保障開始日以降に、特定疾病または重度慢性疾患で就業不能状態となり、その状態が継続したままローン返済日が到来した場合、ローン返済相当額が最長12ヵ月分支払われます。また、その状態が12ヵ月継続した場合には、住宅ローン残高が0になります。
●全疾病入院保障②:①以外の病気の場合
保障開始日以降に、病気やケガで就業不能状態となり、その状態が3ヵ月を超えて継続し、そのままローン返済日が到来した場合、ローン返済相当額が最長21ヵ月分支払われます。また、その状態が24ヵ月継続した場合には、住宅ローン残高が0になります。
●重度ガン保険金前払特約:住宅ローンの返済期間中に悪性新生物(ガン)に罹患し、標準的な治療をすべて受けても効果がなかったなどと判断された場合、住宅ローン残高が0円になります。
●先進医療特約:傷害または疾病の治療を目的として先進医療による療養を受けた場合、先進医療にかかる技術料と同額(通算1,000万円まで)が支払われます。
※40歳未満の方の場合
基本的な保証は大きくは変わらないものの、保険会社ごとに条件や特約に違いがあります。団信はほとんどの住宅ローンで加入が必須となるため、しっかりと内容を確認・検討しましょう。
住宅ローン選びのポイント5:手数料・諸費用
住宅ローン借入の際には、住宅ローンそのもの以外に手数料などの諸費用が必要になり、その内容も住宅ローンによって異なります。
住宅ローンは金利や団信の内容に目が行きがちですが、諸費用も含めた総支払額で比較しましょう。
融資事務手数料
住宅ローン借入時には様々な諸費用がかかります。その中でも代表的なものに融資事務手数料があります。住宅ローン融資の際に発生するコストで、融資手数料や銀行手数料と呼ばれることもあります。
銀行ごとにプランは異なりますが、融資事務手数料には大きく「手数料定率型」と「手数料定額型」があります。
手数料定率型
手数料定率型は「借入額×〇%」のように、借入額に応じた融資事務手数料を支払うタイプです。一般的に手数料は借入額の1.5~2.2%程度に設定されています。
例)4000万円の借入で手数料が2.2%の場合
4000万円×2.2%=88万円(税別)
このように、4000万円借入のケースでは税込で90万円以上の手数料が必要となります。
手数料定率型は計算式の性質上、借入額が多くなるほど手数料が増えます。ただし、保証会社への保証料が不要となるのが一般的です。
手数料定額型
手数料定額型は、借入額に関わらず一律で「〇万円」のように、一定の融資手数料を支払うタイプです。一般的に手数料は3万円~5万円(税別)程度に設定されています。
ここまでの情報を基に4000万円の借入の場合で手数料定率型と手数料定額型を比較すると以下のようになります。
●手数料定率型(手数料率が2.2%の場合)
4000万円×2.2%=88万円
4000万円+88万円=4088万円
●手数料定額型(手数料が5万円の場合)
4000万円+5万円=4005万円
こうして見ると手数料定額型が非常にお得に見えます。
ただし、大手銀行や地方銀行での借り入れの場合、手数料定額型では保証会社への保証料が必要となるのが一般的であるため、注意が必要です。
手数料定額型の保証料
手数料定額型の場合、保証料が必要となるのが一般的です。また、保証料は一括型と金利上乗せ型があります。
金融機関や借入条件によって金額は異なりますが、一括型の保証料率は100万円当たり約2万円、金利上乗せ型は0.15%~0.3%ほどの金利上乗せが目安となります。
借入金額ごとの保証料を計算してみると、以下のようになります。
●借入額3000万円:[一括型]約60万円、[金利上乗せ型]約115万円
●借入額4000万円:[一括型]約80万円、[金利上乗せ型]約154万円
●借入額5000万円:[一括型]約100万円、[金利上乗せ型]]約193万円
※借入期間35年、保証料率0.2%で試算
手数料と保証料をあわせて考える必要があるため、金利の安さだけを見て住宅ローンを選定するのではなく、手数料等の諸費用も含めて試算することが重要です。
まとめ
本記事では住宅ローンの選び方を「金利タイプ」や「団信」「手数料」など、様々な視点から解説しました。
今回ご紹介した以外にも、単独ローンorペアローン、自営業者orサラリーマンなど、ご家庭の状況ごとに最適な住宅ローン選びは変わります。
また、インターネットで得られる情報は、各社の金利や団信の情報が主です。注文住宅には「中間金」など、建築途中で支払いが必要な部分があることから、注文住宅での利用に向かない金融機関もあります。
さらに、ホームページ等の情報を見れば、金利の安いネット銀行が最もお得に見えますが、審査によって地方銀行と同等程度の住宅ローン金利となる場合もあります。
このことからも今回解説した内容を踏まえて候補となる金融機関を絞り込み、建築会社に相談してみるのが良いでしょう。
住宅ローン選びに困っているという方や住宅ローンを借りられるかお悩みの方も、お気軽に福岡工務店スタッフへご相談ください。