福岡で建て替えるなら押さえたい都市計画【規制への対処方法などを解説】
福岡で建て替えをおこなう際に気を付けなければならない重要なことのひとつが「都市計画」です。もし建て替えの予定地が都市計画法の市街化調整区域にあたる場合、建築できない、規制があるなどで望み通りの家づくりをおこなえない可能性があります。
本記事では、建て替えの予定地が都市計画法の市街化調整区域などで、建築に規制がある場合への対処方法などを図解でわかりやすく解説します。
都市計画法とは
都市計画法とは、住人が暮らしやすいように、住居・商業・工業・自然などのバランスが整った街をつくるためのルールのことです。
もし都市計画法がなければ、住宅地の真ん中に工場が建設されたり、住宅が乱立して道路がジグザグになったり、開発業者が周辺の緑を全てなくしたりなど、無計画に街づくりがおこなわれる可能性があります。そうなると、全体を管理することができないので、とても住みづらい街ができてしまいます。
都市計画法で建築できないことも!?
「実家の敷地内だから大丈夫」「建て替えなら問題ない」と思っていても、最悪の場合、都市計画法によって建て替えができないケースも考えられます。そんなの知らなかったとならないために、福岡工務店の事例も併せて「都市計画法」をチェックしていきましょう。
都市計画法の土地の分類
都市計画法では土地の分類を以下のようにわけて制限を設けています。
それぞれ順番に解説します。
区域区分
区域区分では、「都市計画区域(街づくりの中心になる区域)」を更に3つに分類します。それでは、この3つの区域を見ていきましょう。
市街化区域
すでに街として成り立っている区域や、これから街にしたい区域を指し、建物が建てやすい区域になります。
市街化調整区域
当面の間、市街化を計画していない区域のことです。原則として建物を新築できない区域になります。
白地地域
上記に該当しない地域です。自治体ごとに規制が定められています。
用途地域
用途地域は、「市街化区域」を住居系・商業系・工業系の目的に合わせて、計12種類にわけられた区分です。用途の異なる土地が混在していると、生活環境や業務の利便性が悪くなります。それらを防ぐための区分です。
第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。小中学校や小規模のお店や事務所を兼ねた住宅などが建てられます。
第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。小中学校などの他、150㎡までの一定のお店などが建てられます。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。
第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などの他、1500㎡までの一定のお店などが建てられます。
第一種住居地域
住居の環境を守るための地域です。3000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建てられます。
第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどが建てられます。
準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。
近隣商業地域
周りの住民が日用品の買物などをするための地域です。住宅や店舗の他に小規模の工場も建てられます。
商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。
準工業地域
主に軽工業の工場やサービス施設などが立地する地域です。危険性、環境悪化が大きい工場以外は建てられます。
工業地域
どんな工場でも建てられる地域です。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
工業専用地域
工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。
地域地区
地域地区とは、用途地区とは異なる条件を設けた区分です。建築できる建物の種類を制限したり、逆に高層ビルなどを建てやすくしたりという地区が含まれています。
地区計画
地区計画とは、統一性のある街を「コーディネート」するための計画です。ここまでの区分わけでは、建物を建てるための制限が中心になっているので、街並みや雰囲気づくりに対する考えはありません。この計画では、街全体に統一感を持たせるための具体的な内容を決めていきます。
市街化区域の事例
市街化区域で建物を建てる時に深く関わってくるのは以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
準防火地域
準防火地域とは、「火事になった際を考え、建物の規模や用途に合わせた防火措置が必要になる地域」です。住宅などの建物が密集している地域が該当します。
建物が密集しているということは、その地域で火事が発生した場合、隣へ燃え移る(延焼する)可能性が高くなると考えられます。そのため、建物の規模に応じた防火措置が必要になります。
木造建築の防火措置とは
●屋根、外壁、開口部、軒裏の延焼の恐れがある部分を防火構造にする。
●隣地境界線や道路中心線などから、1階は3m、2階以上は5m以下の距離にある建築物の部分を防火構造にする。
【福岡工務店の事例】
この地域は「防火構造に変更できれば家が建てられる」地域です。福岡工務店の家は、屋根、外壁、軒裏は防火構造の基準を満たしています。そのため、延焼の恐れがある開口部(窓・ドア・換気扇)を変更しました。専用の部材に変更するため、金額面での計画をしっかりと練る必要があります。
戸建住環境形成地区
戸建住環境形成地区とは、福岡市の定めた特別用途地区です。建物を建てるための条件が最も厳しい「第一種低層住居専用地域」が該当しています。
第一種低層住宅専用地域は、建物を建てる際「建ぺい率40%、容積率60%」に加えて、高さ制限などの厳しい条件があるのですが、敷地面積、外壁後退で特定の条件を満たすと、建ぺい率、容積率を緩和することができます。
●外壁後退とは「建物の外壁と敷地境界線までの距離」です。
●建ぺい率とは「その土地の何割を建物用として使えるか」を定めた割合です。
●容積率とは「その土地に建設できる建物の延床面積」を定めた割合です。2階建は1階と2階の床面積の合計です。
戸建住環境形成地区の建ぺい率と容積率
戸建て住環境形成地区の建ぺい率や容積率は、特定の条件で緩和されることを先ほどご説明しました。具体的にどのような条件の場合にどの程度緩和されるのか見てみましょう。
1. 敷地面積が165㎡未満の場合
敷地面積が165㎡未満の場合は、通常の「建ぺい率40%、容積率60%」となり緩和措置はありません。ただし、都市計画決定日(平成24年1月5日)より前から「165㎡未満」であることが確認できる敷地は「165㎡以上」として取り扱うため、②のケースとなります。
2. 敷地面積は165㎡以上で外壁後退が1.0m以上1.5m未満の場合
建ぺい率は変わりませんが容積率は80%まで緩和されます。都市計画決定日前に建築されたものの、増築において増築部分の外壁後退距離を1.5m以上確保する場合は該当しません。
3. 敷地面積が165㎡以上で外壁後退が1.5m以上の場合
通常に比べて、建ぺい率が10%増えて50%に、容積率も20%増えて80%になっています。
4. 増築の場合
都市計画決定日前に建築されたものの、増築において増築部分の外壁後退距離を1.5m以上確保する場合も③のケース同様に、建ぺい率が10%増えて50%に、容積率も20%増えて80%になっています。
風致地区
風致地区とは、都市計画区域内の住環境の優れた地域において、「緑のある美しい景観やその地域の計画に基づいた美しい街並みを保ってほしい地域」を指します。
美しい景観が多いことから、風格や由緒ある高級住宅地を形成しやすいと言われている「風致地区」。外壁後退の条件だけでなく、その景観を守るため「みどり率」という制度が設けられています。下記の条件を満たせば比較的「建物が建てやすい」地区です。
みどり率とは敷地面積に対して「生長した樹木を水平に投影して測った面積」の割合を指します。敷地内にどれだけ植栽をおこなえばいいかの基準値で、福岡市では30%と定められています。
市街化調整区域の事例
「原則として建物を新築することができない」とされている市街化調整地域ですが、特定の条件であれば建物を建てることも可能になります。ここでは、市街化調整区域でも建築可能な「都市計画法第43条許可」「実家の建て替え」「農家住宅」に注目してご説明します。
都市計画法第43条許可
市街化調整区域では、原則として建物を建築することができません。しかし、都市計画法第43条(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)に該当するものは、申請をおこなうことで例外的に建築が可能な場合があります。
都市計画法第43条は、市街化調整区域における建築の中で、開発行為(山林や水田などを住宅用の土地にするための宅地整備工事)を伴わないものへの許可です。
実家の建て替え
市街化調整地域でも新築や建て替えが可能なケースもあります。その条件を満たすには、建物を建てたい土地にいつから建物があったのかが重要になります。「登記簿」で確認できますが、行政が関わる内容なので自己判断は危険です。
登記簿とは、「その土地に、いつ、どんな用途で、どのくらいの規模の建物が建っていたかわかる履歴書」です。通常、法務局に保管されています。
農家住宅
農家住宅とは農業に従事する人が住むために建てた家を指します。希望する土地が市街化調整区域であっても、農家住宅なら建築の規制が除外されるようになっています。(都市計画法第29条1項第2号に該当するため)
まとめ
本記事では、建て替えの予定地が都市計画法の市街化調整区域などで、建築に規制がある場合への対処方法などを図解でわかりやすく解説しました。
「実家の敷地内だから大丈夫」「建て替えなら問題ない」の認識では、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。家づくり、特に建て替えで失敗しないためには、ご自身の判断に任せすぎずプロへ相談することが大切です。
福岡工務店では、営業スタッフが実際にご検討中の土地を拝見し、じっくりとお悩みやご要望をお伺いしますので、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
関連記事を見る
-
建替
2023.07.05
【まとめ】福岡で建て替えをおこなう際のポイントや注意したいことを解説
-
建替
2023.07.03
福岡で建て替えるなら気にしたい自然公園【福岡県内の対象エリアを解説】
-
建替
2023.06.29
福岡で建て替えるなら意識したいがけ条例【擁壁などの対策の方法を解説】
-
建替
2023.06.23
福岡で建て替えるなら要チェックの浄化槽【耐用年数や設置費用まで解説】
-
建替
2023.06.15
福岡で建て替えるなら注意したい隣地境界【よくあるトラブルなどを解説】
-
建替
2023.06.08
福岡で建て替えるなら先に確認したい地目【宅地に変更した事例まで解説】
-
建替
2023.05.18
福岡で建て替えるなら知っておきたい道路【法律を基に様々な状況を解説】
-
建替
2023.05.11
福岡で旗竿地の建て替えをおこなう注意点【メリットとデメリットを解説】
-
建替
2023.05.05
福岡で実家の建て替えをする場合の選択肢【古い実家の活用方法まで解説】
-
建替
2023.04.28
福岡で建て替えとリフォームでお悩みの方【判断に役立つ情報を教えます】
-
建替
2023.04.27
福岡で建て替えをおこなう際の建築の流れ【福岡工務店の流れを例に解説】
-
建替
2023.04.15
福岡で建て替えをおこなう際の価格や費用【付帯工事費や諸費用まで解説】