注文住宅の価格を正しく知る方法【坪単価にはカラクリがあるため要注意】
「福岡工務店の坪単価はいくら?」という質問をよくいただきます。また、ローコスト住宅メーカーの広告などで「当社の坪単価は○○万円です。」という表記をよく見ます。
注文住宅は大きな買い物なので、多くの方は価格を気にされていると思います。では、坪単価を単純計算すれば建物の価格になるのでしょうか?じつは、そこには思わぬ落とし穴が潜んでいるのです。
本記事では、坪単価のカラクリ、注文住宅の価格を正しく知る方法、注文住宅の価格を抑える方法などをわかりやすく解説します。
坪単価とは
坪単価とは、建物の1坪(3.3㎡)あたりの価格のことを言います。そのため、一般的に「坪単価×面積=建物価格」になるという認識をされていることが多いですが、坪単価の計算方法には厳格な規定がなく、安く表現しようと思えばできてしまうのです。
仮に、安く表現された坪単価だけで予算を組んでいた場合、実際の価格とは大きなズレが発生してしまい、家づくりの計画にも支障が出てしまう可能性があるため、価格を正しく知ることは非常に重要になります。
坪単価のカラクリ
坪単価を安く表現できることは前項でお伝えしましたが、同じ建物でどれだけ坪単価に差が出るものなのでしょうか?ここでは、某住宅メーカーの建物(建築費1600万円)を例に、2通りの坪単価を計算しておりますのでぜひご覧ください。
2通りの坪単価を計算
建築費の内訳
本体工事費:1300万円(*1)
付帯工事費:300万円
合計金額 :1600万円(*2)
面積の内訳
延床面積 :33.78坪(*A)
施工床面積:47.45坪(*B)
一般的な坪単価の計算方法
「合計金額÷延床面積=坪単価」
1600万円(*2)÷33.78坪(*A)= 47.4万円
安くする坪単価の計算方法
「本体工事費÷施工床面積=坪単価」
1300万円(*1)÷47.45坪(*B)= 27.4万円
このように、同じ建物でもどこを基準に計算するかによって、坪単価に「20万円の差」が生まれてしまうのです。これが、安易に坪単価だけで価格を判断しないほうがいい理由となっています。
坪単価に差が生まれる原因
坪単価は「建築費÷面積」で算出するため、可能な限り建築費を低く設定し、面積を大きく設定すれば安く表現することができます。
建築費を低くするには
構造材・仕上材・設備機器の仕様を下げること、工事項目を除外(別途工事扱い)すること、仮設工事費などの付帯工事費を除外(別途工事扱い)することで、いくらでも建築費は低く表現できます。
面積を大きくするには
建築基準法の延床面積には、ポーチ・ロフト・バルコニー・庇・軒・小屋裏・吹き抜けは含まれていません。これらを加えた総面積を施工床面積と言いますが、こちらを採用すれば面積を大きく表現できます。
このように、坪単価の計算方法はそれぞれの建築会社の考え方に任せられているのが実情です。そのため、坪単価を目安に訪れた建築会社で思わぬ価格を提示されることは多くあります。
では、坪単価に惑わされず建物の本当の価格を知るにはどうすればいいのでしょうか?
注文住宅の価格を正しく知る方法
注文住宅の価格を正しく知るには以下のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ順番に解説します。
注文住宅の価格
マンションや建売住宅(分譲住宅)は、仕様や間取りがすでに決められており、それに対しての価格が設定されているため非常にわかりやすいです。
注文住宅はフルオーダーメイドなので、仕様や間取りを自由に決めることができ、図面に対しての見積もりが出てくるまで実際の価格はわかりません。また、お客様それぞれで理想の家は異なるため、同じ建築会社の家でも1000万単位の価格差があります。
「当社の家はいくらです。」と明確に提示できないのが注文住宅の弱みですが、反面、理想と予算のバランスを考慮しながらご自身で価格の舵取りをできるのが注文住宅の強みです。
注文住宅の建築費の内訳
注文住宅の建築費を大きく3つに分類すると以下の通りです。
本体工事費:70%
付帯工事費:10%~20%
諸費用 :10%~15%
本体工事費が70%、付帯工事費と諸費用が30%という割合で覚えておくと良いでしょう。
総費用の見積もりで建築会社を比較
図面をもとに見積もりを出してもらい、総費用がわかったとしても、それが適正なのかどうかまでは判断できません。そのため、同じ図面で複数社に見積もりを出してもらい、総費用を軸に建築会社を比較されると良いでしょう。
ただし、建築会社それぞれに得意とする分野があり、「住宅の性能」「材料の品質」「施工の精度」が異なるため、総費用と建築会社の特徴を加味して、総合的に見て判断されることをお勧めしています。
注文住宅の価格を抑える方法
注文住宅の価格を抑えるには以下のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ順番に解説します。
平屋ではなく総2階にする
延床面積が同じ家の場合、平屋より1階と2階が同じ面積の総2階のほうが価格を抑えることができます。また、建物の凹凸の部分を減らすことも効果的です。
その理由は、建築費の中でも基本構造と呼ばれる「基礎」「屋根」「外壁」などはコストが高いためです。基本構造の面積をできるだけ減らすことで、資材や作業を少なくすることができ、結果的にコストダウンに繋がります。
空間を細かく区切らない
間取りをシンプルにして、空間を区切る仕切りを減らすことで価格を抑えることができます。
空間を細かく区切るということは、そこに壁を作り、クロスを貼り、ドアを取り付けるコストが必要になります。つまり、仕切りをできるだけ減らすことは、コストダウンに繋がるということです。
オプションを減らす
家には多種多様なオプションがありますが、必要最低限にすることで価格を抑えることができます。
後付けすると高額になる床暖房や全館空調などは、建築段階で吟味されると良いでしょう。しかし、便利なオプションも暮らし始めると使わない場合もありますので、不要なオプションを入れないことはコストダウンに繋がります。
まとめ
本記事では、坪単価のカラクリ、注文住宅の価格を正しく知る方法、注文住宅の価格を抑える方法などをわかりやすく解説しました。
坪単価は一見すると便利な指標に思えるのですが、注文住宅の価格を推測するには曖昧な指標となっており、きちんと総費用の見積もりをもらうことが大切です。
福岡工務店では、全てのお客様に対して坪単価ではなく総費用で価格をお伝えしております。また、当社ではプランナーが直接お話を伺って図面を描くため、理想と予算のバランスのお力にもなれますので、価格や費用のことでお悩みを抱えている方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。