規格住宅と注文住宅の違いはどこにある?【メリットとデメリットを解説】
新築の戸建て住宅を購入するにはふたつの方法があります。ひとつめは、土地と建物付きの建売住宅を購入する方法。ふたつめは、土地に合った建物を設計して建築する方法です。その中でも、建物を建築する方法は二種類あり、規格住宅と注文住宅でわかれます。
本記事では、家づくりの分岐点でもある規格住宅と注文住宅の違いを、比較できるようにメリットとデメリットの視点でわかりやすく解説します。
規格住宅とは
規格住宅という商品の目的は建物価格を抑えることです。建物価格を抑える基本の考え方は、材料の原価と工事費を抑えることと販売手数料を少なくすることです。
材料の原価を抑えるには、使う材料の種類を絞ることで発注量を多くし、取引先との交渉で仕入価格を下げることがポイントとなります。また、建物の作り自体もシンプルにして、最小限の材料で作れるようにルール化することで材料の原価を抑えることに繋がります。
工事費を抑えるには、工事期間を短くすることです。これは建物をシンプルにし、複雑な工程を工事からなくすことがポイントとなります。また、職人に手間のかかる作業をさせず、単純化させることで手間賃を下げることで工事費を抑えることに繋がります。
このように、材料の原価や工事費を下げるには、建物を決められた材料やルールの中で建てるということが重要になってきます。つまり、一定の規格の中で建てることで建物価格を抑える住宅、それが規格住宅なのです。
規格住宅はローコスト住宅?
規格住宅=ローコスト住宅というイメージがあるかもしれませんが、じつはそういうわけではありません。規格住宅はあくまでも、その会社が建てる注文住宅より価格を抑えた商品を提供するための手段です。そのため、同じ会社の商品の中では低価格ですが、規格住宅全体で見ると価格の幅は広いのが現実です。
建築会社の規模や性能、使用している材料などでまずは価格的なランクにわけられますが、ローコスト住宅とは、一般的に30坪から35坪の2階建ての建物価格を1000万円から2000万円の間で建築している会社の商品を指しています。
規格住宅のメリット
規格住宅のメリット以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
打ち合わせが短くて済む
規格住宅にも色々ありますが、多くが決まった仕様や決まった設計のルールで家づくりをおこないます。カタログなどを見せてもらい「この中から選んでください。」というような打ち合わせが主になりますので、打ち合わせの時間をトータルすると短くて済みます。
工事期間が短くて済む
規格住宅は、必要最低限の間取りや収納・建具などで構成され、家ごとに特別な設計のないとてもシンプルな住宅です。したがって、工事業者も作業が早く終わる傾向があります。お引っ越しを急いでいる方などには、工事期間が短いことはメリットになるでしょう。
完成形をイメージしやすい
形のない住宅は、なかなか完成形のイメージをしにくいものです。しかし、規格住宅は細かな設計を省く分、シンプルで完成形がイメージしやすいと言われています。完成後にイメージと違ったという後悔が少ない家づくりができる点はメリットと言えるでしょう。
規格住宅のデメリット
規格住宅のデメリット以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
間取りの自由度が少ない
間取りに自由度がないということは、収納や土間、ワークスペースやスキップフロア、吹き抜けなど、空間を最大限に活用してライフスタイルに合わせた設計はできないということになります。
つまり、賃貸住宅と同じように比較的決まった間取りの中で暮らすことになります。デザインにもこだわれず個性がない住宅になりますので、売却する時などは有利かもしれませんが、自分が住むにあたっては不満に感じることも多いでしょう。
土地に合わない場合がある
土地ごとに方位や形や周囲の環境がすべて異なります。住宅が他の商品と大きく違う点はこの部分で、完全に同じ商品をどこにでも建築できるわけではないので、その敷地に合わせた家づくりをすることが重要です。
しかし、規格住宅の場合、多くの制限があるためそれができません。施主が家に求める要望と、土地に建てられる家の形のバランスをとることが難しい状況も多く、その場合に使い勝手や住み心地が悪い家になってしまう可能性があります。
サービスが疎かになる場合がある
建物価格を抑えるために家づくりの工程を簡略化し、打ち合わせや工事期間を短くする傾向にある規格住宅では、スタッフのサービスが疎かになってしまうことがあります。
例えば、建築会社によっては工期が担当者の評価などに反映されることもあります。その場合、注文住宅と同じように寄り添って家づくりができない環境にあるのです。それにより、施主と担当者との間で情報共有が疎かになってしまい、思わぬミスが発生することもあります。
注文住宅とは
注文住宅とは、施主の意向を十分に反映できる完全自由設計の住宅のことです。決められた仕様やルールがないため、理想の間取りや理想の暮らしを実現することができます。
大手ハウスメーカーでは、商品の安定生産と利益向上のため、自社の工場で住宅の部材を量産することがあります。この場合、どうしても工場のラインを効率的に動かさないといけないため、商品の仕様や間取りの制限が高くなり、注文住宅より規格住宅の要素が多くなりがちなので注意が必要です。
注文住宅のメリット
注文住宅のメリット以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
間取りの自由度が高い
敷地に合わせた家づくりが重要なことは規格住宅の時にお話しましたが、注文住宅ではそれが可能です。敷地に合わせて家を建てることで使い勝手や住み心地が良くなり、毎日の生活の質が向上します。
お客様の満足度が高い
打ち合わせ時に悩んで決めたことが建物として形になることは、施主にとって大きな喜びです。自分たちが考えて建てた世界にただ一つの家で暮らすことは、毎日の生活に満足感や豊かさ、そして精神的にもメリットがあると言えるでしょう。
建築プロセスを楽しめる
家づくりは人生の中でも大きなイベントのひとつです。忙しい毎日の中で家族がひとつになって家づくりに集中するのは大変ですが、こだわりが実現する過程を存分に楽しめるのが注文住宅の醍醐味です。
注文住宅のデメリット
注文住宅のデメリット以下の通りです。
それぞれ順番に解説します。
建物価格が高くなる
規格住宅と比較して、建物価格が高くなるのが注文住宅です。お勧めの標準仕様などはありますが、基本的には自由設計となります。
例えば、施主が希望するキッチンを取り付けることも可能ですし、段差のあるリビングや収納空間の確保、間取りそのものも法的な範囲の中でほぼ思い通りに設計できます。その代わり、建物価格は高くなってしまいます。
家づくりの期間が長くなる
注文住宅は、ゼロから家づくりをおこなっていくため、家のことで決めなければいけないことがたくさんあり、打ち合わせの期間が長くなります。
使い勝手を考慮して、壁の位置や棚の高さ、空間の幅などを設計士と話し合います。大変ですが、ライフスタイルに合わせた家づくりが可能になります。また、建築する現場スタッフもミスがないように最新の注意を払って工事していくため、工事期間が長くなってしまうことがあります。
予算内に収まるか不安を感じる
注文住宅では、随時見積りを取りながら設計を進めていきます。規格住宅のように「この中からしか選べませんが、価格は変わりません。」ということであれば不安は少ないですが、満足感もあまり高いとは言えないでしょう。
注文住宅の場合、ご要望に応じて追加料金が発生することがあります。ただし、その工事を発注するかしないかはお客様の判断になりますので、足し算引き算の末、予算内で納得のいく家を作れた時は、大きな満足感を得ることができます。
まとめ
本記事では、家づくりの分岐点でもある規格住宅と注文住宅の違いを、比較できるようにメリットとデメリットの視点でわかりやすく解説しました。
福岡工務店では、規格住宅の商品やローコストの商品はご用意しておりません。完全自由設計の注文住宅だけを取り扱っており、住宅性能にこだわることでコスパ抜群の家をご提供できております。注文住宅の場合、建物価格はお客様の要望によって大きく異なるため、理想の家を実現したいとお考えの場合は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。