平屋の家を建てる際の後悔しないポイント【必要な家の広さの目安を解説】
2023年の住宅業界のトレンドとして真っ先に挙がるのが「平屋」です。これまでは、ご高齢の方が建築することが多かった平屋ですが、現在は若い家族が建築することも増えてきました。
本記事では、平屋の家を建てる際の後悔しないポイントやメリットとデメリット、快適な暮らしに必要な家の広さの目安をわかりやすく解説します。
平屋とは
平屋は、ワンフロアで構成された一階建ての住宅です。構造を単純化できることや2階部分を1階が支える必要がないため、耐震性に優れており間取りを柔軟に考えられます。
終の棲家としての活用を考えるご高齢の方はもちろん、間取りの自由度を活かしたデザイン性の高い家づくりが可能なことから、若年層からの人気も高くなってきています。
人気の平屋が普及していない理由
そんな人気の平屋ですが、住宅街を歩いてもあまり見かけることはありません。その最大の理由は、「広い土地が必要」なことが挙げられます。土地には建ぺい率と容積率が設定されており、建てられる住宅の面積が決められています。
ワンフロアで完結する平屋は、一般的な二階建ての家より広い土地が必要になります。しかし、現在の福岡では土地が少ないことや土地の価格が高騰していることもあり、平屋に適した土地を手に入れることが難しくなっているのです。
建ぺい率と容積率
人気の平屋が普及していない理由として挙げた「建ぺい率」と「容積率」についてご説明します。
建ぺい率
建ぺい率とは、「その土地の何%を建物の面積として使えるか」を定めたものです。簡単に言うと、敷地面積を真上から見たときの建物の広さの割合です。
建ぺい率は「建築面積÷敷地面積×100」という式で求められます。エリアによって異なりますが、住宅建築用の土地の建ぺい率は、おおよそ30%~80%となっています。
容積率
容積率とは、「その土地に建築できる建物の延床面積」を定めたものです。2階建であれば、1階と2階の床面積の合計が延床面積となります。
容積率は「延床面積÷敷地面積×100」という式で求められます。エリアによって異なりますが、住宅建築用の土地の容積率は、おおよそ50%~500%となっています。
快適な暮らしに必要な家の広さ
豊かな生活を送るための家の広さの指標として、国土交通省より住生活基本計画というものが示されています。その中に、健康で文化的な住生活には不可欠な居住面積を示す「最低居住面積水準」と、豊かな住生活の実現に必要な居住面積を示す「誘導居住面積水準」があります。また、誘導居住面積水準は「都市居住型」と「一般型」に分かれます。
●都市居住型:都心とその周辺での共同住宅居住を想定
●一般型:郊外や都市部以外での戸建て住宅居住を想定
戸建ての建築をご検討中の方は、誘導居住面積水準(一般型)をご参考ください。それぞれの面積水準を求める式は以下のようになります。
基準 | 単身者 | 2人以上の世帯 |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 25㎡(約7.56坪) | 10㎡×世帯人数+10㎡ |
誘導居住面積水準(都市居住型) | 40㎡(約12.1坪) | 20㎡×世帯人数+15㎡ |
誘導居住面積水準(一般型) | 55㎡(約16.6坪) | 25㎡×世帯人数+25㎡ |
2人家族の場合
基準 | 2人世帯 | 算出される面積 |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 10㎡×2+10㎡ | 30㎡(約9.1坪) |
誘導居住面積水準(都市居住型) | 20㎡×2+15㎡ | 55㎡(約16.6坪) |
誘導居住面積水準(一般型) | 25㎡×2+25㎡ | 75㎡(約22.7坪) |
3人家族の場合
基準 | 3人世帯 | 算出される面積 |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 10㎡×3+10㎡ | 40㎡(約12.1坪) |
誘導居住面積水準(都市居住型) | 20㎡×3+15㎡ | 75㎡(約22.6坪) |
誘導居住面積水準(一般型) | 25㎡×3+25㎡ | 100㎡(約30.3坪) |
4人家族の場合
基準 | 4人世帯 | 算出される面積 |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 10㎡×4+10㎡ | 50㎡(約15.1坪) |
誘導居住面積水準(都市居住型) | 20㎡×4+15㎡ | 95㎡(約28.7坪) |
誘導居住面積水準(一般型) | 25㎡×4+25㎡ | 125㎡(約37.8坪) |
上記の内容から、3人世帯で約30坪、4人世帯で約38坪が豊かな住生活を実現するのに必要な広さの目安となることがわかります。この床面積に加えて駐車スペースなども必要になります。2階のない平屋では、その全てをカバーできるだけの土地が必要です。
福岡市内の場合、最も坪単価の安い東区でも平均45万円/坪(SUUMO:2023年11月現在)となっており、土地だけで2000万円以上も必要となる計算です。土地価格を抑えるために土地面積を小さくすると、快適な広さを確保するために階層を増やすことになります。
平屋の家を建てるメリットとデメリット
続いては、平屋の家を建てる際のメリットやデメリットについてご紹介します。
平屋の家を建てるメリット
平屋の家を建てる場合には、以下のようなメリットが挙げられます。
それぞれ順番に解説します。
耐震性と自由度が高い
平屋は、2階建てと比べて構造として安定しているため耐震性に優れています。そのため、高い耐震性を維持しないがら、設計の自由度を高めることができます。
家事楽動線とバリアフリー
平屋は、ワンフロアで完結するため動線がコンパクトで家事楽な間取りにできます。また、階段を上り下りする必要がないためバリアフリー性も優れています。
メンテナンスしやすい
平屋は、家の高さが低いので2階建てに比べて手の届かない箇所は少なくなります。また、メンテナンス時に足場が不要なためコストを抑えることができます。
平屋の家を建てるデメリット
平屋の家を建てる場合には、以下のようなデメリットが挙げられます。
それぞれ順番に解説します。
初期費用が割高になる
平屋は、広い土地が必要になるため土地の購入費用が高くなります。また、高価な部材にあたる屋根や基礎の面積が大きくなるため2階建てより高くなります。
プライバシーを守る工夫が必要
平屋は、道路との高低差が少ないため外部からの目を気にする必要があります。フェンスを設けたり窓の配置を調整するなどプライバシーを守る工夫が必要です。
収納不足に陥りやすい
平屋は、リビングや各居室を広く取ろうとすると収納不足に陥りがちです。小屋裏空間などのデッドスペースを有効活用して十分な収納計画を意識しましょう。
平屋の家を建てて後悔しないポイント
最後に平屋の家を建ててから後悔しないためのポイントをお伝えします。
それぞれ順番に解説します。
住宅性能が高い建築会社を選ぶ
平屋は、屋根と居室スペースが近いため、断熱をしっかりとおこなえていなければ、夏場は居室で暑さを、冬場は居室で寒さを感じやすくなります。注文住宅を建てる際も、建売住宅を購入する際も、断熱を始めとした住宅性能が高い建築会社を選びましょう。
プライバシーや採光・収納計画
平屋は、外部からの視線や家族の関わりなどプライバシーへの配慮が非常に重要です。また、周囲の2階建てより低い建物になるため採光への配慮も必要です。デッドスペースを活用した収納計画も含め、快適に暮らせる間取りになるよう要望を伝えましょう。
平屋の必要があるのか検討する
平屋は、地震や台風などの災害に強く、バリアフリー性にも優れるなど良い面があります。しかし、土地の購入を含めた建築費用は割高になりがちです。家族が幸せな暮らしを送ることを考えた際に、本当に平屋の必要があるのか再度ご検討してみてください。
まとめ
本記事では、平屋の家を建てる際の後悔しないポイントやメリットとデメリット、快適な暮らしに必要な家の広さの目安をわかりやすく解説しました。
平屋は、耐震性や設計の自由度の高さ、家事楽動線やバリアフリー性など多くのメリットがあります。反面、2階建てより広い土地が必要なことによるコスト増やプライバシーへの配慮、十分な収納計画など気を付けなければならないポイントもあります。
メリットを活かしながらデメリットを解消するためには、規格から選ぶ家づくりではなく、自分たちに最適な間取りをつくりあげることが望ましいです。
福岡工務店では、プランナーが直接お客様の想いをヒアリングし、プランをゼロから描く「完全自由設計」の家づくりをおこなっています。限られた敷地を最大限に活かした、快適な暮らしができる平屋をご希望の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。