60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

60代で一戸建ての建築やマンションの購入をご検討されている方は多くいらっしゃいますが、マイホームの考え方は年代によって異なる部分があります。

本記事では、60代で家を建てる際のマイホームの考え方やメリットとデメリット、建ててから後悔しないためのポイントをわかりやすく解説します。

 

 

 

60代でマイホームを購入する方の割合

60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

上のグラフは、国土交通省「令和3年度の住宅市場動向調査報告書」より抜粋した、初めて住宅購入した方のデータです。

グラフの通り、住宅購入の中心となっているのは30代・40代です。しかし、60代での新築住宅購入者も約9%程度、中古住宅購入者は11%を超えます。このことから、60代での住宅購入は多くはないものの、購入を検討してもおかしくないことがわかります。

 

 

60代で家を建てる際のメリットとデメリット

60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

ここでは、60代の方が「家を建てる」という点に着目してメリットとデメリットをご紹介します。

 

60代で家を建てるメリット

60代で家を建てる場合には、以下のようなメリットが挙げられます。

●頭金を確保しやすい
●老後を楽しめる設計

それぞれ順番に解説します。

 

頭金を確保しやすい

国税庁「令和3年民間給与実態統計調査」によると、平均年収のピークは50代で約520万円となっています。60代に入ると年収は約420万円に下がるものの、年収の高い50代でしっかりと貯蓄できれば、60代での住宅建築が可能な頭金を用意できるでしょう。

ARUHIの「住宅購入に関する調査2021」によると、60代の方の平均住宅購入金額は約3200万円、住宅ローンの平均借入金額は約580万円となっています。単純計算すると約2600万円の頭金を用意しているということになります。

また、金融広報委員会の「令和3年家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」によると、60代の二人以上世帯の平均貯蓄額は2427万円となっているため、約2600万円の頭金というのは、平均的な家庭の貯蓄よりもやや多いことがわかります。

 

老後を楽しめる設計

60代で家を建てる場合、定年を迎えているか、間もなく定年を迎えるかという状況であることがほとんどです。50代までの家づくりは通勤などを考慮した土地探しや、どちらかは働いているという前提での設計が重要になります。

しかし、定年後は家にいられる時間が長くなります。そこで、趣味に特化した部屋や夫婦で過ごす時間を大切にした設計ができます。また、子ども達も独立していることがほとんどであるため、コンパクトな平屋やバリアフリーを重視した家づくりが可能です。

 

60代で家を建てるデメリット

60代で家を建てる場合には、以下のようなデメリットが挙げられます。

●住宅ローンの審査が厳しい
●次の買い替えが難しくなる

それぞれ順番に解説します。

 

住宅ローンの審査が厳しい

住宅ローンの完済年齢は一般的に75歳~80歳に設定されています。つまり、60代で住宅ローンを組む場合は最長で20年となります。返済期間が短くなれば月々の返済額は大きくなる反面、収入は減り続けるため頭金を用意して月々の返済を抑えることが重要です。

また、歳を重ねるごとに病歴は増えていきます。そのため、多くの住宅ローンで必須の団信への加入が難しくなる可能性があります。もし体調面に不安がある場合、団信への加入が任意となっているフラット35をご検討ください。

二世帯住宅など子世帯と同居を検討している場合、親子リレーローンという住宅ローンの仕組みもあります。親子で住宅ローンを契約し、リレーのようにバトンを繋いで返済するものです。「今から住宅ローンは無理」と諦める前に建築会社に相談してみましょう。

 

次の買い替えが難しくなる

60代で家を建てる場合、それ以降に改めて持家を購入するのは難しいでしょう。60代の住宅購入は多くの頭金が必要となるため貯蓄を多く使うことになります。さらに、年齢を重ねるごとに住宅ローンの審査は厳しくなっていきます。

また、「退職金がある」とお考えの方もいるかもしれませんが、老後の生活資金として退職金の扱いは慎重におこなうべきです。そのため、60代の家づくりは「終の棲家」という意識を持って、生涯快適に安心して暮らせる建築会社を選ぶことが大切になります。

 

 

60代で家を建てる際に後悔しないためのポイント

60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

60代で家を建てる場合には、以下のような後悔しないためのポイントが挙げられます。

●交通の利便性を基準に土地探し
●健康に暮らすための住宅性能
●バリアフリーに配慮した設計

それぞれ順番に解説します。

 

交通の利便性を基準に土地探し

60代の土地探しは、通勤や通学の重要度が下がるため、のんびり暮らせる郊外も候補となるでしょう。ただし、生活に必須のスーパーなどが近くになければ車や公共交通機関での移動となります。しかし、いつまでも車を運転し続けられる方ばかりではありません。

免許返納の割合を見ると60代が約15%、70代が約50%となっているため、近い将来、公共交通機関が移動の中心となる可能性があります。郊外で土地を探す場合、「いつか車を運転しなくなる」ということも念頭に置いて、土地探しや土地購入をおこなってください。

 

健康に暮らすための住宅性能

60代で家を建てる場合、健康に暮らすためにはヒートショック対策が重要になります。東京都健康長寿医療センター研究所によると、2011年の1年間で約1万7000人がヒートショックに関連して急死したと推計されており、そのうちの9割が65歳以上と言われています。

ヒートショックは、温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することにより引き起こされる失神・不整脈・脳梗塞・心筋梗塞などを指します。冬場の何気ない「暖かいリビング→寒い浴室→暖かい湯船」という入浴の流れの中でも血圧が大きく変動してしまうのです。

東京都健康長寿医療センター研究所でも、ヒートショックの防止には「住宅の温熱環境を整えることが重要」と分析されています。隙間の少ない高気密高断熱であれば、冷暖房だけで家全体の居室間の温度差を抑えることできるため、ヒートショック防止につながります。

 

バリアフリーに配慮した設計

60代で家を建てる場合、次の住宅購入が難しいことから「終の棲家」を意識する必要があります。健康寿命が延びた現代では60代でも若々しい方が多いですが、いずれ病気や体力の低下が訪れることは免れません。そこでバリアフリーに配慮した設計が重要になります。

室内の段差をなくしたり、車椅子なども考えて建具や廊下のサイズを選んだり、玄関にスロープを付けたりなどが例として挙げられます。現時点では不要でも将来的にリフォームなどで費用をかけずに済むように、バリアフリーを優先順位の上位におくと良いでしょう。

 

 

まとめ

60代で家を建てる際のマイホームの考え方【メリットとデメリットを解説】

本記事では、60代で家を建てる際のマイホームの考え方やメリットとデメリット、建ててから後悔しないためのポイントをわかりやすく解説しました。

60代の方は、住宅ローンの審査が厳しくなるため頭金を用意する必要があります。しかし、老後に特化した家づくりがおこなえるメリットもあるため、良い点・悪い点をそれぞれしっかりと理解し、後悔のない家づくりをおこなってください。

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